「Cats」で一番好きなネコ

アンドリュー・ロイド・ウェッバーのミュージカル「Cats」は、複数のネコたちによるオムニバス構成になっている。観客は、ネコたちが語る彼らの生き様を見る形で物語が進む。

その中でも何匹か特にお気に入りのネコがいる。鉄道ネコのスキンブルシャンクス、役者ネコのガス、そしておばさんネコことジェニエニドッツだ。

今回、Catsの仙台公演を観て相変わらずジェニエニドッツがかわいかったので、ファンアートを描いてみた。彼女は英語版ではガンビー・キャットと呼ばれている。これは原作者のエリオットの造語で、ガムみたいに床に貼り付いて、座ったまま身動きしないネコという意味だ。そのため彼女は太っているのだが、舞台では夜になると厚いコートを脱ぎすて、軽快にタップを踊る。

地下室でネズミたちが夜ふかしして騒がないように子守唄を歌ってやったり、不潔なゴキブリたちを躾けて逆に大掃除をさせてしまったり。優しくて規律正しくて陽気な、古き良き英国の素敵な中年女性である。

劇団四季で最初に彼女を演じたのは服部良子さんだ。合計4,000回以上もジェニエニドッツを演じるという偉業(おそらく世界記録)を達成するも病に倒れ、わずか55歳で世を去った。病気の進行に伴いCatsを降板してからも、亡くなる直前まで「人間になりたがった猫」に出演し子供たちを楽しませていた。

今は電離層のオーロラを纏って、Heaviside Layerから地上のネコたち、ネズミたち、そしてゴキブリたちさえも優しく見守っているに違いない。

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