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フォクトレンダーのVito Bを入手しました。通称「大窓」と言われる等倍ファインダーを持つ後期型です。このカメラは1954年から1959年まで生産されました。後期型なので最末期に生産された個体である可能性もありますが、それでも1959年以前製。立派なクラシックカメラです。
このカメラの前モデルであるVito IIは小さく軽くレンズが収納できるカメラで、大好きで愛用しています。そのモデルに比べるとレンズが固定式となった分収納時にかさばりますが、それでも十分小さいカメラです。
外観程度はよく、ほとんど傷や塗装剥がれ、貼り革の痛みは見られません。唯一、巻き戻しノブについている装填フィルム備忘用のメモ板が完全に塗装落ちし、爪で回すためのリベットも取れてしまっていますが、それほどに使い込まれているのに他の部分に傷ひとつなく、レンズもスカッと抜けているというのはそれだけ大事に使われてきた証左でもあります。どうせこの部分は使いませんから、気にしない気にしない。
そして、純正フードが付いています。ここもポイントでしたね。
このカメラは、ストラップ取り付け金具として「最後まで打ち込んでいない釘」というか、リベット状のピンがついているだけで、通常のストラップは付きません。首から提げたいときは速写ケースを使うことになりますが、私は手が小さいのであまりケースを付けての使用は好きではありません。なので、ケースがないことは減点対象にはなりませんでした。
使用上の注意事項は、このVitoシリーズに共通の仕様なんですが、フィルムを入れないと空シャッターが切れないということがあります。「巻き上げないとシャッターが切れない」「シャッターを切らないと巻き上げできない」という仕組みをシンプルに実現しているのはいいのですが、巻き上がっているかどうかを判定する機構をフィルムが駆動する仕組みになっているからです。また、フィルムカウンターは自動復帰ではないので、フィルム装填し2コマ進めたところで自分でセットする必要があります。ま、これはバルナックもそうですから特に不便というほどでもありません。ちなみにカウンターは減算式です。
ピントは目測で、フィート表示。露出はLV式で、基本絞りとシャッターは連動。組み合わせを変えるときは2つついているロックボタンを親指と人差指でつまんでそのまま絞りリングを回します。このあたりは扱いやすく、スムーズに行なえます。
私の個体のシャッターはプロンターSVSで、最高1/300秒です。コーティングはブルー系とアンバー系の2層のようです。絞り羽は6枚。純正フードはかぶせ式で、フィルターの逃げはとってありますので、プロテクター系みたいな枠がゴツいタイプでなければ大丈夫でしょう。鏡胴前端がピントリングですが、前玉回転式ではありません。
ファインダーは大変立派な等倍ファインダーが奢られていて、両目を開けて覗くと視野にブライトフレームがぽっかり浮かびます。接眼窓も十分に広く、眼鏡使用者の私にも大変見やすいファインダーになっています。
巻き上げは非常に軽く快適です。M型ライカ並みに軽くて巻上げ中のトルク変動がなく、素晴らしい感触です。シャッター音も小気味よく、どこかはつらつとした少年を思わせるカメラです。
近いうちに作例を載せたいと思います。